無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領等の一部改正

1. 改正の全体像

① 何が変わるのか?

今回の改正は「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」の一部改正であり、これに伴い従来、飛行許可・承認の申請手続について簡略化(省略)を可能としていた運用の見直しが行われます。

次の運用が廃止されます。

  • 「ホームページ掲載無人航空機」による手続簡略化
  • 「ホームページ掲載登録講習団体等が行う技能認証(民間資格)」による手続簡略化
  • 航空局ホームページに掲載されている団体等が定める「飛行マニュアル」に関する扱いの見直し(運用廃止)

② 改正公布日・運用開始時期

国土交通省の説明資料では改正が公表され、DIPS(ドローン情報基盤システム2.0)等の改修に伴い、システム側で申請受付の停止などの処置が入る旨が案内されています。

2025年12月15日公布、12月18日施行運用開始)です。

2. 用語の説明

① ホームページ掲載無人航空機

国や航空局の指定ページや運用に掲載されている「一定条件を満たす無人航空機(機種)」を指し、従来はその掲載があることで申請書類の一部を省略できる運用が認められていました。

改正により、この「掲載」に基づく省略運用は廃止されます。

令和4年の型式認証及び機体認証の制度の開始により、その3年後にホームページ掲載無人航空機制度を終了することが宣言されていたことから、令和7年12月の審査要領改正により廃止します。

② ホームページ掲載登録講習団体等が行う技能認証

国が周知している登録講習団体等が実施する技能認証(民間資格)が、かつては申請時の操縦者に関する審査書類の一部省略対象となっていました。

今回の見直しで、当該「ホームページ掲載」を根拠にした書類省略運用は廃止されます。

令和4年の無人航空機操縦者技能証明の制度の開始により、その3年後に民間技能認証を活用した審査を終了することが宣言されていたことから、令和7年12月の審査要領改正により廃止します。

③ 航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル

飛行許可・承認申請に使用する飛行マニュアルのうち、「標準マニュアル」及び「航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル」は航空局が公開または確認済みの飛行マニュアルをご使用いただくことで、当該部分の審査を省略し迅速化につなげていました。

「航空局標準マニュアル」の公開、そして2025年3月の大幅アップデートにより「航空局ホームページに掲載されている団体等が定める飛行マニュアル」の活用例が減少していることから、運用が廃止されます。

3. 飛行許可申請への影響

① 申請書類が増える(省略が使えなくなる)

従来、「ホームページ掲載無人航空機」や「ホームページ掲載登録団体等が行う民間資格」等を理由に一部書類の添付や説明を省略していた申請は、改正の結果、これらの省略ができなくなります。

つまり、型式認証・機体認証・無人航空機操縦者技能証明など、別の法的に明確な簡略化根拠がある場合を除き、従来より詳細な証明書類や提出や説明を求められる可能性があります。

② 型式認証・機体認証・技能証明の扱い

説明資料では、型式認証・機体認証・無人航空機操縦者技能証明(国家資格)に基づく申請簡略化制度は存続すると明示されています。

つまり、「ホームページ掲載無人航空機」や「ホームページ掲載登録団体等が行う民間資格」等の飛行許可承認申請時の廃止はされますが、型式認証や機体認証がある機体、国家資格を有する操縦者については引き続き手続きの一部簡略化・省略化が可能です。

③ 紙申請(DIPS2.0での申請以外)利用者への影響

国の案内・報道等では、改正後は過去の申請における「ホームページ掲載無人航空機」や「ホームページ掲載登録団体等が行う民間資格」等の有無にかかわらず、一律で新様式による新規申請扱いとする旨の周知があります。

紙申請で「従来の掲載により省略していた」場合でも、改正後は新たに必要書類の提出を求められる点に注意が必要です。

4. 申請の際の注意点

① DIPS2.0のシステム停止期間

国のDIPS2.0の告知によれば、システム改修に伴い以下のような停止・利用制限が予定されています(利用者へのメール等で周知)。
12月15日や18日を含む期間にわたり、飛行許可・承認申請機能や機体・操縦者情報の登録・修正が利用できない時間帯があります。該当期間の詳細はDIPSの案内をご確認ください。

つまり、DIPS2.0の改修のため、 12月15日~18日の間、飛行許可・承認申請の受付が停止されます。

これは申請の一時停止であり制度の廃止ではありません。

② 改正後の注意点

審査要領の改正日以降、「ホームページ掲載無人航空機」や「ホームページ掲載登録団体等が行う民間資格」等含む申請は適用できません。

そのため、12月18日以前にいただいた電子申請のうち、「ホームページ掲載無人航空機」や「ホームページ掲載登録団体等が行う民間資格」等が含まれる申請の変更・更新申請等ができなくなります。

型式認証、機体認証及び無人航空機操縦者技能証明により許可・承認申請に係る手続の一部を簡略化・省略化は引き続き利用できます。

5. まとめ

  • 「ホームページ掲載無人航空機」等に基づく運用は廃止される。
  • 型式認証・機体認証・技能証明に基づく簡略化・省略化は存続する。
  • DIPS2.0の改修のため、 12月15日~18日の間、飛行許可・承認申請等の受付が停止。
  • 飛行計画通報等のその他の機能は使用可能です。
  • 申請後、申請書式が変更されます。
  • 飛行許可承認申請時に廃止されるのであって、ホームページ掲載講習団体や民間資格等が無くなる訳ではありません。