ドローンの仕事(建設業)

1. 建設業におけるドローン活用の要点

建設業におけるドローン(無人航空機)の活用要点について、国土交通省が進める「i-Construction 2.0」の取り組みを踏まえて、以下の通りまとめます。

ドローン技術は、従来の建設生産プロセス(調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新)全般において、生産性向上と安全性確保に不可欠な先進技術として位置づけられています。

① 建設生産プロセスにおける主要な活用分野と効果

建設分野におけるドローンの活用は、測量、調査、点検、災害対応など、ドローン需要の約4割を占める主要な用途となっています。

⑴ 調査・測量(大幅な省人化と高精度化)

ドローンを活用した測量は、i-Constructionのトップランナー技術の一つです。

  • 効率化と時間短縮:短時間で広範囲を測量することが可能です。
  • 危険箇所のカバー:災害現場や急峻な山間地など、人が容易に立ち入れない危険な場所でも測量が可能となり、従来手法と比較して約4割の人工(マンパワー)削減効果が確認されています。
  • データ連携:取得した3次元点群データは、施工データやデジタルツイン構築の基盤として活用されます。

⑵ 施工管理・点検(リモート化と安全性向上)

ドローンは、現場作業の効率化と、屋外作業のリモート化・オフサイト化を実現するために積極的に活用されます。

  • リアルタイム情報伝送と遠隔管理:ドローンやロボットで撮影された映像や3次元点群データを、高速通信(Starlinkなど)を活用して遠隔拠点(オフィス)へリアルタイムに伝送し、施工進捗や異常を遠隔から迅速に確認することが可能です。
    これにより、定期巡回や施工管理にかかかる時間を大幅に短縮できます。
  • デジタルツインとの連携:取得した映像や3次元データをデジタルツイン化することで、コンクリートや土工事の出来形確認、建設内部の設備点検などを遠隔または自動化し、業務効率を向上させます。
  • 閉鎖空間での活用:GNSSが届かないトンネル坑内のような暗所や、地下の閉鎖空間において、ドローンの自律飛行機能を利用し、巡視・点検を自動化し、省人化を実現する事例があります。
  • 施設点検の効率化:配水ポンプ場など遠方施設の巡視点検において、ドローンとIoTセンサーを活用することで、点検人員の削減、作業時間の短縮、技術継承の省力化といった効果が得られています。

② 航空法の規制緩和

ドローンの利活用を拡大するため、国土交通省により航空法関連の規制緩和が進められています。

⑴ 特定の飛行許可・承認の不要化

十分な強度を有する紐(30m以内)等でドローンを係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立ち入りを管理する措置を講じた場合、以下の飛行許可・承認が不要となります。

  • 人口集中地区(DID地区)上空における飛行
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件から30m未満の距離での飛行
  • 物件投下

⑵ 飛行禁止空域の緩和

煙突や鉄塔などの高層構造物の周辺(当該構造物から30m以内)については、地表または水面から150m以上の空域であっても、航空機の飛行が想定されないことから、ドローンの飛行禁止空域から除外されています(飛行許可不要)。

⑶ 有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)

有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を指すレベル4飛行(カテゴリーIII)が可能となりました。

この飛行には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 機体認証:第一種機体認証。
  • 操縦者技能証明:一等無人航空機操縦者技能証明書。
  • 飛行許可・承認の手続き:飛行の許可・承認手続き、および各運航ルールの遵守。

また、無人地帯における目視外飛行(レベル3飛行)については、機体カメラ等を活用することで補助者や看板の配置といった現在の立入管理措置を撤廃できるレベル3.5飛行が新設されています。

③ 他分野応用による将来的な活用可能性

他分野で実用化されているドローン技術が、建設分野にも応用可能です。

  • 資機材の運搬(物流応用):山間部や洋上など、アクセスが困難な地域への資機材運搬に、物流分野で進む目視外の自動航行技術(レベル3.5飛行など)が適用可能です。
  • 塗装・補修作業(農業応用):農業分野での農薬散布技術やAI画像認識による生育状況確認技術は、建設分野では、構造物の表面劣化をAIで診断し、補修箇所に補修剤を吹き付ける塗装・吹付作業に応用できます。
    特に高所作業の安全性向上と労力削減に効果的です。
  • 現場警備・安全監視(警備応用):警備分野で実用化されている、不審物や不審人物の自動判別・追跡技術は、建設現場のセキュリティ管理や、危険箇所、不審ドローンの監視に役立てられます。

これらの技術を積極的に活用し、建設現場のオートメーション化を進めることで、少ない人数で安全かつ快適な環境で働く、生産性の高い建設現場の実現が目指されています。

2. 建設分野のドローン活用事例の用途

国内のドローン産業における活用割合を見ると、建設分野に関連する測量調査点検災害対応が全体の約4割を占めており、ドローンの主要な需要分野となっています。

① 測量および現場の状況調査

ドローンは、特に広範囲や危険が伴う場所のデータ取得に用いられます。

用途具体的な活用内容関連プロセス
広範囲の測量・地形データ取得短時間で広範囲の測量を実施し、3次元点群データを作成する。これにより、従来手法と比較して作業員の人工を約4割削減できます。調査・測量
危険箇所の調査災害現場や急峻な山間地など、人が容易に立ち入れない場所での測量を可能にします。壁面が崩落したトンネル内部など、安全確保ができていない災害現場の状況を映像で確認します。調査・災害対応
土木測量目視内の自動または自律飛行を用いて土木測量を行います(レベル2飛行)。測量
地質の調査非接触で地質の調査を行います。調査

② 施工管理と品質・進捗管理

ドローンやロボットから取得したデータを活用し、現場の管理業務をリモート化・効率化する用途です。

用途具体的な活用内容関連プロセス
現場の進捗管理ドローンの空撮写真から3次元点群データを作成し、デジタルツインとして活用して施工進捗を管理します。また、建設現場の進行管理そのものにも利用されます。施工管理
出来形・品質の確認コンクリート工事や土工事の出来形確認、建設内部の設備点検などを遠隔または自動化し、業務効率を向上させます。取得した3次元点群データとBIMデータを即時比較することで出来形管理を行う。施工管理・検査
遠隔からのリアルタイム監視Starlinkなどの高速通信を利用し、トンネル建設現場などから取得した3次元点群データをリアルタイムで遠隔拠点へ伝送し、施工進捗や壁面のずれ・亀裂などの異常を遠隔で確認します。これにより、データ確認までの時間を大幅に短縮し、定期巡回や施工管理にかかる時間を短縮します。施工管理・安全確認

③ 施設点検・メンテナンス

特に人が立ち入るのが難しい高所や閉鎖空間での点検用途です。

用途具体的な活用内容関連プロセス
トンネル坑内点検GNSSが受信できない暗所であるトンネル坑内において、安定した自律飛行を行い、高所を含む坑内の施工状況を網羅的に記録し、巡視・点検を自動化・省人化します。点検
遠隔施設点検配水ポンプ場など遠方にある施設の計器類(表示ランプやメータリング)の撮影や監視に用いられ、点検人員の削減や作業時間の短縮に貢献します。点検・維持管理
橋梁点検橋梁の点検に活用される。点検
構造物の劣化診断・補修農業分野の技術を応用し、構造物の表面を撮影してAIで劣化度を診断した後、補修剤の吹き付け(塗装)作業を行う用途(高所作業の安全性向上)が考えられます。維持管理

④ その他の横断的な活用用途

他分野で実用化されているドローン技術を建設分野に応用する用途です。

用途具体的な活用内容関連プロセス
資機材運搬物流分野の技術を応用し、山間部や洋上などアクセスが厳しい地域において資機材を運搬します。施工
現場セキュリティ管理警備分野の技術を応用し、建設現場内やその周辺を飛行する不審ドローンの侵入リスクを監視したり、不審物や危険箇所をAIで自動的に判別・追跡したりする用途が考えられます。安全管理
ドローン給電ドローンの無線給電ポートを道路などに設置し、バッテリー容量の制約を受けずに工事の進捗把握や資材輸送にドローンを利用することを目指します(実証実験段階)。施工管理

3. まとめ

ドローンは、建設現場の測量調査点検災害対応において、すでに不可欠なツールとなっており、国内のドローン需要の約4割を占めています。

ドローン導入の最大のメリットは、生産性の向上安全性の大幅な改善です。

国土交通省は、「i-Construction 2.0」を通じて、ドローンやAIなどの先進技術を積極的に活用し、建設現場のオートメーション化を推進します。

最終目標は、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍以上に向上させることです。

これにより、人口減少下においても社会資本の整備・維持管理を持続し、給与がよく、休暇が取れ、希望がもてる魅力的な建設業を実現を目指します。

ドローン技術は、建設現場の変革を牽引し、建設業を「最先端の工場」へと変貌させます。

この変革の波に乗るためには、技術開発だけでなく、法規制への適切な対応と、デジタルデータを活用するための社内体制の構築が喫緊の課題となります。

出典:建設施工・建設機械(国土交通省)