リモートIDの搭載義務

1. リモートIDの要点

ドローンの登録制度義務化に伴い、機体への登録記号の表示だけでなく、識別情報を電波で遠隔発信するリモートIDの備えが必須となりました。

① リモートID機能の定義

リモートIDとは、ドローンの識別情報(登録記号など)を電波で遠隔発信する機能のことです。

空を飛んでいるドローンの登録記号を地上から目視で確認するのは困難なため、電波を用いて識別を可能にしています。

発信される情報の種類として以下の情報が1秒に1回以上発信されます。

  • 静的情報:製造番号、登録記号
  • 動的情報:位置(緯度・経度)、速度、高度、時刻

ただし、氏名や住所などの個人情報は含まれません

② 機器の種類と仕組み

リモートIDには、機体に最初から備わっている内蔵型と、後から取り付ける外付型の2種類があります。

  • 内蔵型:近年の主要な機体(DJI製など)に多く、システム上で設定可能です。
  • 外付型:リモートID機能がない古い機体や自作機に使用します。
    複数の機体で使い回すことも可能ですが、飛行前にアプリでの書き込み(インポート)作業が必要です。

発信にはBluetooth 5.xやWi-Fiなどの電波が用いられます。

③ 手続きと注意点

特に注意を促しているのは、以下のポイントです。

  • 情報の書き込み:リモートID機器に登録情報を書き込むには、原則専用アプリ「DIPS APP」を使用します。
    メーカー側(DJI社など)で書き込むことも可能です。
  • 外付型の登録:外付型を使用する場合、その製造者名や製造番号などを「ドローン情報基盤システム(DIPS)」に登録・変更届け出する必要があります。
  • 罰則:搭載義務があるにもかかわらず、リモートIDを搭載・作動させずに飛行させた場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

2. リモートIDの搭載が「免除」されるケース

無人航空機の登録義務化に伴い、原則として100g以上の機体にはリモートIDの搭載が義務付けられていますが、以下に該当する場合はリモートIDを備えずに飛行させることが可能です。

① 事前登録期間中に登録手続きを完了した機体

無人航空機の登録制度が施行される前(2021年12月20日~2022年6月19日まで)の事前登録期間中に登録手続きを行った機体は、リモートIDの搭載が免除されます。

登録の有効期間(3年間)が切れる前に更新手続きを適切に行い続ける限り、この免除措置は継続されます。

② あらかじめ国に届け出た「リモートID特定区域」での飛行

十分な安全確保措置を講じた上で、事前に国土交通大臣へ届け出た「リモートID特定区域」の上空で飛行させる場合は、リモートIDの搭載は不要です。

ただし、飛行を監視する補助者の配置、および看板やコーン等による区域の範囲(境界線)の明示などが必要です(第三者立入管理区域の設定)。

③ 十分な強度を有する紐などで係留して行う飛行

長さが30m以内の十分な強度を有する紐(ひも)等で係留して飛行させる場合は、リモートIDの搭載が免除されます。

十分な強度を有する紐(ひも)等(30m以内)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人航空機を飛行させる場合は、人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行及び物件投下に係る手続き等が不要である。

④ 警察・海上保安庁等による特定の業務

警察庁、都道府県警察、または海上保安庁が、警備その他の特に秘匿を必要とする業務のために行う飛行については、免除の対象となります。

⑤ そもそも「無人航空機」に該当しない

以下のケースは航空法上の無人航空機の規制対象外となるため、リモートIDの搭載義務も生じません。

  • 重量100g未満の機体:本体とバッテリーの合計重量が100g未満のものは「模型航空機(トイドローン)」に分類され、登録やリモートIDのルールは適用されません。
  • 屋内での飛行:屋内として整理された空間での飛行は航空法の適用外となるため、リモートIDも不要です。

3. リモートID特定区域

リモートID特定区域とは、あらかじめ国(国土交通大臣)に届け出を行うことで、リモートID機器の搭載義務が免除される区域のことです。

この届出が受理されるためには、主に「安全確保措置」と「事務的な届出事項」の2つの要件を満たす必要があります。

① 安全確保措置

特定区域内でリモートIDを搭載せずに飛行させる場合、少なくとも以下の措置を講じなければなりません。

  • 補助者の配置と監視:無人航空機の飛行を監視する補助者を配置する必要があります。
    補助者は、機体が特定区域から逸脱しないよう監視・助言を行い、無届の機体が飛来した場合には必要に応じて飛行中止を指示しなければなりません。
  • 区域の範囲の明示:看板やカラーコーンなどの標識を設置し、土地上に境界線(外縁)を明示する必要があります。
    操縦者から境界線や目印がすべて視認できる状態にしなければなりません。
  • 無届機飛来時の対応:無届の機体が飛来し、自他の判別が困難な場合は、補助者の指示に従い飛行を中止する必要があります。

② 事務的な届出事項

行政手続きとして、以下の情報を正確に届け出る必要があります。

  • 機体情報:区域内を飛行させる全ての無人航空機の登録記号を記載しなければなりません。
  • 飛行計画飛行の日時(最大3年間を限度とする)を指定します。
    区域の範囲(地図データや端点の緯度・経度)および高度の上限を明確にします。
  • 届出のタイミング:飛行を開始しようとする日の少なくとも5開庁日前までに届け出る必要があります(郵送の場合は5開庁日前までに必着)。
  • 提出方法:ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)によるオンライン申請、または郵送にて行います。

③ 飛行時の義務

届出が完了した後も、実際の飛行時には以下の要件を守る必要があります。

届出内容や国から通知された届出番号を提示できるよう、端末の画面表示や印刷した書面を携帯しなければなりません。

届出の代表者は、特定区域における機体の管理や飛行が適切に行われているかを確認する義務を負います。

なお、特定区域の届出を行っても、人口集中地区(DID)の上空や目視外飛行など、特定の飛行形態に該当する場合は、別途「飛行の許可・承認」が必要になる可能性がある点にご注意ください。

4. まとめ

無人航空機の登録制度義務化に伴い、100g以上の全ての登録機体には「リモートID」の備えと作動が原則として義務付けられました。

リモートIDとは、登録記号や位置、速度、高度、時刻などの識別情報を電波で遠隔発信する機能のことです。

これにより、地上から目視で確認できない飛行中の機体を識別し、安全・安心な空のインフラを確保します。

機器は「内蔵型」と「外付型」に分類され、原則専用アプリ「DIPS APP」を用いて登録情報を書き込むことで機能します。

事前登録機体、リモートID特定区域、紐などでの係留飛行、警察・海上保安庁等による特殊業務ではリモートIDの搭載が免除されます。

リモートIDの搭載が免除されるケースであっても、機体への登録記号の表示や、飛行禁止空域特定飛行方法での飛行許可・承認といった他のルールは依然として適用される場合があります。

義務があるにもかかわらず、リモートIDを搭載・作動させずに飛行させた場合、50万円以下の罰金が科される可能性があるため、適正な管理が不可欠です。