1. 小型無人機等飛行禁止法
正式名称は、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」といいます。
2015年4月22日、内閣総理大臣官邸に無人航空機が落下する事件がありました。ドローンを用いたテロや犯罪行為が起こる恐れが生じたため、重要施設の上空でのドローンの飛行を禁止する法律を作る事が急務でした。
翌2016年3月18日公布、4月7日施行の「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)」が制定されました。
① 小型無人機等飛行禁止法の目的
小型無人機等飛行禁止法は、国の中枢機能や社会基盤を担う重要施設の上空での小型無人機等による危険な飛行を未然に防ぎ、対象施設の安全を確保することを目的としています。
具体的には、対象施設の敷地・区域上空およびその周辺おおむね*300mの上空での飛行を禁止することで、テロや妨害、事故のリスクを低減します。
*改正により令和8年7月14日から、おおむね1,000m(1㎞)に拡大されます。
② 重要施設とは?
小型無人機等飛行禁止法上の重要施設の代表例は次の通りです。
- 国の重要な施設等(例:国会議事堂、内閣総理大臣官邸、皇居・御所など)
- 外国公館等(在日大使館・領事館など)
- 防衛関係施設(自衛隊基地・演習場等、米軍基地、指定された対象防衛関係施設)
- 空港(国土交通大臣が指定する空港。新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港、告示により指定されるもの)
- 原子力事業所(福島第一原子力発電所、高浜発電所、玄海原子力発電所など、原子力発電所や関連施設で法令により対象とされるもの)
- *対象特別要人所在施設:天皇または内閣総理大臣が所在する施設として一時的に指定されるもの。
- *国際会議関連施設:外国の要人が参加する国際会議の会場として一時的に指定されるもの。
各都道府県警察や関係省庁が対象施設の一覧を告示・公表している場合があるため、飛行前は必ず最新の告示や管轄警察の案内を確認してください。
*改正により令和8年7月14日から、天皇または内閣総理大臣の所在施設や国際会議場が新たに指定対象となり、一時的な規制が増える可能性があります。
③ レッドゾーンとイエローゾーン
- レッドゾーン:対象施設の敷地または区域の上空。ここでは原則飛行が禁止されています。
例外として、対象施設の管理者またはその同意を得たものが当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空での飛行。
- イエローゾーン:対象施設を中心とした周囲おおむね*
300メートルの地域の上空。こちらも原則禁止です。
例外として、⑴対象施設の管理者またはその同意を得たものが当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空での飛行。⑵土地の所有者若しくは占有者またはその同意を得た者が当該土地の上空での飛行。⑶国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行。
*改正により令和8年7月14日から、おおむね1,000m(1㎞)に拡大されます。
④ 小型無人機等とは?
小型無人機等飛行禁止法で規制対象となる「小型無人機等」は主に次のとおり定義されています。
- 小型無人機:構造上人が乗ることができない機器で、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの(ドローン、ヘリコプター、飛行機など)。
100g未満の模型航空機も小型無人機等飛行禁止法の小型無人航空機等に入ります。
- 特定航空用機器:航空法上の航空機以外で、人が搭乗して飛行することができる機器のうち、国家公安委員会規則で定めるもの(飛行船、パラグライダー、ハンググライダーなど)
航空法では飛行許可申請の除外だった100g未満の模型航空機が小型無人機等飛行禁止法では小型無人機等に入ります。
つまり100g未満の模型航空機も原則重要施設では飛行できません。
⑤ 都道府県公安委員会等への通報(警察署経由)
小型無人機等の飛行を行う48時間前までに、対象施設の管理者等から同意を得るなどして、当該小型無人機等の飛行に係る当該対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報をする必要があります。
皇居、赤坂御用地に係る対象施設周辺地域で小型無人機等を飛行させる場合、上記通報に加えて、当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して皇宮警察本部長に通報をする必要があります。
⑥ 対象施設の安全確保のための措置
法律と通達では、違反時の警察等の権限や、施設管理者等がとりうる安全確保措置を定めています。
主なものを列挙します。
⑴ 警察官等の対応権限
違反者に対して「機器の退去」その他必要な措置を命ずることができます。*命令に従わない場合は罰則の対象になります。
*従来通り違反者に対して機器の退去等を命じることはできますが、改正後(令和8年7月14日後)は命令を待たずとも、禁止区域内(イエローゾーン含む)で違法に飛行させた時点で直ちに罰則適用の対象(直罰)となります。
⑵ 飛行の妨害・機器の破損等の措置
⑴で命じられた者が当該措置を取らないとき、警察や関係機関はやむを得ない限度で飛行の妨害や機器の破損等の必要な措置を講じることができます。
⑶ 施設管理者等による例外的な飛行許可
対象施設の管理者の同意を得た者が行う飛行、土地所有者等の同意を得た飛行、国・自治体業務のための飛行などは例外として認められる場合があります。
空港や原子力事業所では、管理者の同意が条件になります。
⑷ 現場レベルの実務例
空港で発見されたドローン:空港管理者が巡視や滑走路閉鎖などを行い、警察と連携して機器退去命令や飛行妨害措置が実施されました。
自衛隊基地周辺:管理者(防衛施設側)の同意がある場合に限定して飛行が認められるケースがあるが、無断飛行は直ちに退去命令・強制措置の対象になります。
⑸ 罰則(小型無人機等飛行禁止法第13条)
重要施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。
警察官等の命令に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。
航空法上の罰則ではありません、小型無人機等飛行禁止法の罰則です。
改正により令和8年7月14日から、イエローゾーン(周辺地域)で違法に飛行させた者は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(新設された直罰規定)。
2. まとめ
*飛ばす前に「その場所が対象施設(レッドゾーン、イエローゾーン)に該当しないか」を必ず確認しましょう。
管轄警察や自治体、空港・施設管理者の公表情報を確認しましょう。違反すると罰則につながる可能性があります。
忘れがちですが、小型無人機等の飛行を行う48時間前までに、対象施設の管理者等から同意を得て、当該対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報する必要があります。
最後に、小型無人機等飛行禁止法では対象施設の特定や周辺の区域が告示等で随時示される場合があります。
最新の告示・都道府県警察や関係省庁(警察庁、国土交通省、防衛省等)の公式案内を都度確認することが最も重要です。
*改正により令和8年7月14日から、禁止エリアが1,000mへと大幅に拡大されたため、以前は大丈夫だった場所も規制対象になっている可能性があります。また、イエローゾーンでの飛行にも直罰が適用されるようになったため、より厳格な確認と手続き(48時間前の通報など)が求められます。


