ドローンの仕事(警備)

1. ドローン警備業務の要点

ドローンを用いた警備業務は、人手不足の解消広範囲な状況把握迅速な初動対応を可能にする技術として、現在、様々な分野で社会実装が進んでいます。

警備におけるドローンの活用の要点は以下の通りです。

① 主な用途と具体的事例

ドローンは、施設警備から海洋安全保障まで多岐にわたる場面で活用されています。

  • 大規模施設・重要施設の巡回:太陽光発電所、工場、プラントなどの広大な敷地において、あらかじめ設定したルートを自動飛行し、侵入者や不審車両などの検知・追跡を行います。
  • 屋内監視:倉庫や工場内など、夜間や無人の環境での自律走行・自律飛行により、人による巡回業務を代替します。
  • 不審ドローンの監視:高性能カメラと画像解析により、最大約1km先の不審なドローンを識別し、施設のセキュリティ管理に寄与します。
  • 海洋・沿岸警備:港湾や航路のセキュリティ、密漁の防止、テロ対策(水中からの侵入者や不審物の探知)などに利用されます。
  • 災害・防犯対策:住民避難後の住宅地域における防犯対策や、大規模災害時における孤立地域の調査・点検、地域の住宅防犯対策にも特例として活用可能です。

② 高度な技術と効率化

警備業務の効率化のため、以下のような技術の導入が進んでいます。

  • AI画像認識:AI技術により、撮影された映像から不審者、不審物、劣化箇所などを自動的に判別し、警報を発することができます。
  • ドローンポートによる自動化自動離着陸および自動充電が可能なドローンポートを設置することで、人間の介入を最小限に抑えた24時間の監視体制が構築可能です。
  • 多数機同時運航(1:N運航):1人の操縦者が複数のドローンを同時に監視・制御することで、監視範囲を広げつつ、人件費と時間を削減できます(最大1:5)。

③ 法規制と運用上のルール

警備目的でドローンを使用する場合、航空法等のルールを遵守する必要があります。

  • 特定飛行の許可・承認:目視外飛行、夜間飛行、人や物件から30m未満の飛行などは「特定飛行」に該当し、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。
  • 小型無人機等飛行禁止法:国会議事堂や皇居、原子力事業所などの重要施設の周辺地域(レッドゾーン・イエローゾーン)での飛行は原則禁止されています。
  • 秘匿性の高い業務:警察庁や都道府県警察、海上保安庁などが警備や秘匿を要する業務のために行う飛行では、リモートID機能の搭載義務が免除される場合があります。
  • 飛行自粛要請:警備上の観点から、特定の空域で飛行自粛が要請される場合があり、操縦者は事前に確認しなければなりません(緊急用務空域など)。

④ リスク管理のポイント

多数機を同時に運用したり、目視外で監視を行ったりする際には、特有のリスクへの対策が求められます。

  • 監視限界の把握:操縦者1人あたりの担当機数の上限(現在は1:5程度が限界とされる)を定め、疲労蓄積や不具合への対応遅れを防ぐ必要があります。
  • 通信の確保:遠隔監視を行うため、LTEや衛星通信(Starlinkなど)を活用し、通信途絶時のフェールセーフ機能(自動帰還など)を備えることが重要です。
  • 役割分担と体制:異常発生時に即座に対応できるよう、操縦者とは別に安全管理者を配置し、連絡体制や役割分担を明確化しておくことが推奨されます。

ドローンによる監視業務は、いわば「眠ることのない上空の監視員」を配備するようなものです。

AIと自動充電システムを組み合わせることで、人間が入り込めない危険な場所や、夜間の広大なエリアでも、休むことなく安全を守り続けることができます。

2. ドローンポート

① 自動充電ドローンポートの運用メリット

自動充電ドローンポート(給電ポート)の具体的な運用メリットは以下の通りです。

⑴ 遠隔地からの高度な拠点管理

自動で充電ポートに戻り、自律的に離着陸を繰り返すシステムを構築することで、数百キロ離れた遠隔地のオフィスから現場を管理することが可能になります。

例えば、300km離れた場所からドローンを遠隔自動飛行させ、取得した点群データを活用して施工進捗や出来形管理を行う事例があります。

これにより、人間が現場に赴くことなく、正確かつ迅速な情報収集が可能となり、事故などの人的被害防止にも貢献します。

⑵ バッテリー容量による制約の解消

ドローン運用の大きな課題であるバッテリー容量の制約から解放される点が大きなメリットです。

道路などに給電ポートを設置し、飛行の合間に自動で給電・充電を行うことで、長時間の工事進捗把握や資材輸送にドローンを継続利用できるようになります。

これにより、効率的な作業管理や資源配分が実現し、建設工事の円滑な進行に寄与します。

⑶ 巡回業務の完全自動化と省人化

あらかじめ設定したルートを自動巡回し、自動で離着陸と充電を行う体制を整えることで、人による巡回業務を代替できます。

警備分野の事例では、ドローンポートを拠点にAI画像認識と組み合わせることで、不審者や不審車両の自動検知・追跡・撮影が可能となっています。

施設内に通信設備を別途設置せずともLTE通信等を利用して運用できるため、大規模施設やプラント、倉庫などでの24時間の監視体制構築に非常に有効です。

自動充電ドローンポートは、いわば「無人の給油所を兼ねたドローンの前線基地」のようなものです。

この基地があることで、ドローンは人間から「食事(充電)」を与えられるのを待つ必要がなくなり、自律的に「仕事(飛行)」と「休息(充電)」を繰り返すことができるようになるため、広大なエリアや危険な場所でも休むことなく安全を守り続けることが可能になります。

② ドローンポートを設置する際の法的制限や手続き

ドローンポート(自動充電・離着陸拠点)を設置・運用する際の法的制限や手続きについては、以下の通りです。

⑴ 設置場所に関する制限と手続き

ドローンポートを設置する場所によって、遵守すべき法律や必要な手続きが異なります。

  • 小型無人機等飛行禁止法:国会議事堂、皇居、原子力事業所、空港などの重要施設とその周囲約300m(レッド・ゾーンおよびイエロー・ゾーン)では飛行が禁止されています。
    これらの区域内にポートを設置して飛行させる場合は、対象施設の管理者等からの同意を得た上で、都道府県公安委員会等への事前通報が必要です。
  • 道路法等:道路上に無線給電ポートを設置する場合などは、現行法の制限を受けるため、特区(大阪スーパーシティなど)での実証実験を通じて設置を可能にする取り組みが行われています。
    通常、公共の場所に設置する場合は、その場所を管理する自治体や権利者の周知や承諾が必要となります。
  • 土地所有者の同意:他人の土地にポートを設置し離着陸を行う場合は、土地所有者等の同意を得ることが原則です。
  • 電波法:ポートで無線給電(ワイヤレス充電)を行う場合や、遠隔監視に特定の周波数を使用する場合は、電波法に基づく無線局の免許や登録、技術基準適合証明(技適マーク)の確認が必要になる場合があります。

⑵ 航空法に基づく飛行許可・承認手続き

ドローンポートを拠点として飛行を開始する場合、その飛行形態が「特定飛行」に該当すれば手続きが必要です。

  • 特定飛行の許可・承認:ポートが人口集中地区(DID)での夜間飛行目視外飛行、あるいいは人または物件から30m未満の距離で離着陸を行う場合は、国土交通大臣の許可・承認が必要です。
  • レベル3.5飛行の特例:ドローンポートを用いた無人地帯での目視外飛行(レベル3.5)を行う場合、機上カメラによる安全確認、技能証明の保有、保険加入を条件に、従来の補助者配置や看板設置等といった立入入管理措置を撤廃できる制度があります。
    この場合、個別の措置内容を記載した「運航概要宣言書」を提出し、航空局と事前合意を得ることで、迅速な許可・承認が可能となります。
  • 多数機同時運航(1:N):1人の操縦者が複数のポートから複数の機体を同時に運用する場合、操縦者の負荷が増えるため、異常発生時の対応手順や役割分担を明確にした飛行マニュアルの作成と審査が求められます。

⑶ 安全確保と運用上の義務

ドローンポートを運用する際には、以下の安全措置が求められます。

  • 離着陸場所の調査・選定:ポート設置場所の標高、障害物の位置、周囲の歩行者や車両などの状況を事前に調査し、適切な安全マージンを確保する必要があります。
  • 立入管理措置:特定飛行を行う際は、ポート周辺に第三者が立ち入らないよう、看板やコーン等による表示、あるいは補助者による監視などの措置を講じなければなりません。
  • 飛行計画の通報:ポートから特定飛行を行う場合は、あらかじめ「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」を用いて、離着陸場所や経路を含む飛行計計画を通報する義務があります。

ドローンポートは、ドローンにとっての「専用の駅や港」のようなものです。

駅を作る際には、周囲の安全(航空法)を確保し、土地の持ち主(所有権)や道路のルール(道路法)を確認し、正しい運行ダイヤ(飛行計画)を国に届け出る必要があるというイメージで捉えると分かりやすいでしょう。

3. まとめ

ドローンポートを拠点とした運用を行う際、まず検討すべきは設置場所に関する規制です。

国会議事堂や空港などの重要施設周辺(イエロー・レッドゾーン)では、小型無人機等飛行禁止法に基づき、施設管理者の同意取得都道府県公安委員会等への事前通報が義務付けられています。

また、公共の道路上への給電ポート設置は現行法で制限がありますが、国家戦略特区等での実証実験が進められています。

次に、航空法に基づく手続きです。

自動離着陸や目視外飛行などを行う運用は「特定飛行」に該当し、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。

特に、監視業務を効率化する「レベル3.5飛行」は、操縦ライセンスの保有、保険加入、機上カメラによる安全確認を条件に、従来の補助者配置や看板設置といった立入管理措置をデジタル技術で代替できるようになっています。

さらに、1人の操縦者が複数のポートから複数機を同時に運用する「1:N運航」(最大1:5が当面の目安)を行う場合は、操縦者の負荷や疲労蓄積を考慮したリスク管理が求められます。

不具合や通信途絶に備え、通常時・緊急時の対応手順書や教育訓練マニュアルを別途整備し、安全管理者を含めた組織的な運航体制を構築することが、ガイドラインにより強く推奨されています。

適切な許認可の取得は、単なる法令遵守に留まらず、万一の事故時の責任範囲を明確にし、事業の継続性を守るための最も重要な経営基盤となります。

出典:建設施工・建設機械(国土交通省)