1. ドローンショーの概要
ドローンショーとは、LEDライトを搭載した数百から数千台のドローンをコンピュータで群制御し、夜空に図形、文字、アニメーションなどを描き出す次世代のエンターテインメントです。
ドローンショーの概要について、以下の4つの観点から解説します。
① ドローンショーの歴史と普及
ドローンショーが世界的に注目されたきっかけは、2017年のスーパーボウルにおける演出(150機)や、2021年の東京オリンピック開会式での演出(1,824機)です。
日本国内では2019年頃から本格的なショーが開催されるようになり、近年は花火大会の演出の一部や、企業のプロモーションイベントとして急速に普及しています。
② 主な用途と演出
- エンターテインメント:花火大会、スポーツイベント、音楽ライブなどの演出として活用されています。
- 広告・マーケティング:企業ロゴや商品の形を夜空に描き出すほか、ドローンでQRコードを表示させ、観客がスマートフォンで読み取ってWebサイトへ誘導する広告手法も定着しています。
- アート作品:複数のアーティストによるパフォーマンスをドローンで表現するアートイベントも開催されています。
- 新しい演出技術:近年では、LEDの光だけでなく、花火搭載ドローンやレーザー、スモークを用いたよりダイナミックな演出も登場しています。
③ 法規制と安全対策
ドローンショーの実施は、航空法上の「特定飛行」に該当するため、国土交通大臣(国交省)への許可・承認申請が不可欠です。
- 該当する飛行形態:主に「催し場所(イベント)上空での飛行」および「夜間飛行」に該当します。
- 安全確保:飛行エリア直下には、飛行高度に応じた「立入禁止区画」を設定し、観客との距離を確保しなければなりません(例:高度20m未満なら半径30m以上の範囲)。
- 補助者の配置:飛行経路に第三者が立ち入らないよう監視する補助者の配置や、相互の安全確認体制の構築が求められます。
ドローンショー関連法令に関しては、後で詳しく解説します。
④ 主要事業者と今後の展望
日本国内では、独自機体「DSJ MODEL-X」を開発する株式会社ドローンショー・ジャパンや、1,000機以上の大規模ショーで国内シェア1位の株式会社レッドクリフが市場を牽引しています。
通信の安定化やバッテリー性能の向上により、3,000機規模の超大規模ショーの実現や、20分を超える長時間演出に向けた技術検証が進んでいます。
2026年2月時点の世界最高記録は、8,000機を超える規模で同時に飛行した記録が存在します。
日本国内では2025年の大阪・関西万博にて、最大3,000機が飛行したドローンショーが最大規模です。
2. ドローンショー関連法令と手続き
ドローンショーに関連する法令、申請手続き、および安全対策について、最新の規制動向を踏まえて解説します。
ドローンショーは、航空法上の「特定飛行」が複数組み合わさる極めてリスクの高い飛行形態であり、事前の周到な準備と適切な飛行許可・承認申請が不可欠です。
① 主な関連法令
ドローンショーの実施には、主に以下の法律が適用されます。
- 航空法:飛行禁止空域や飛行方法の規制を定めた中心的な法律です。
- 小型無人機等飛行禁止法:国の重要施設(国会議事堂、内閣総理大臣官邸・公邸、皇居、空港、原子力事業所など)の周辺約300mの上空での飛行を禁止しています。
- 電波法:多数の機体を制御するための無線設備について、技適マーク(技術基準適合証明)の取得や、必要に応じた無線局の免許が求められます。
- 道路交通法:道路上での離着陸が必要な場合、所轄警察署の道路使用許可が必要になることがあります。
- 民法:第三者が管理する土地の上空を飛行させる際、土地管理者の同意を得る必要があります。
- 地方自治体条例:公園や河川敷など、管理者がドローンの飛行を独自に制限している場合があります。
② 航空法における「特定飛行」とカテゴリー分類
ドローンショーは通常、以下の飛行形態に該当するため、国土交通大臣の許可・承認が必要です。
- 催し場所(イベント)上空での飛行:祭礼や展示会など、多数の者が集合する場所の上空での飛行。
- 人口集中地区(DID地区)上空での飛行:都市部や人が多いエリアで開催されることが多いため、DID地区の許可申請が必要になるケースが多いです。
- 夜間飛行:日没から日出までの間の飛行。
- 目視外飛行:操縦者が自分の目で直接機体を見ない状態での飛行。
- 人または物件から30m未満の距離での飛行:第三者やその物件との距離を確保できない飛行。
ドローンショーの多くは一般観客を対象としたオープンな場で行われるため、立入禁止措置を講じなければいけないリスクの高い「カテゴリーIIA」に分類され、個別の飛行許可・承認申請が必須となります。
③ 具体的な手続きの流れ
実施にあたっては、以下のステップを踏む必要があります。
- 機体登録:100g以上の機体はすべて国への登録が必要です(有効期間3年)。
- リモートID特定区域の届出:ショー用機体にリモートIDが内蔵されていない場合、事前に区域を届け出ることで搭載義務の免除を受けることができます。
- 飛行許可・承認申請:飛行開始予定日の10開庁日前まで(不備を考慮すると3〜4週間前が推奨)に、ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)を通じて申請します。
- 飛行計画の通報:許可取得後、飛行前に日時や経路をオンラインで通報します。
- 飛行日誌の作成・記録:飛行後には、飛行記録、日常点検記録、点検整備記録を遅滞なく作成しなければなりません。
④ 安全確保措置の基準
ドローンショーでは特に、落下時の危害を最小限に抑えるための措置が厳格に求められます。
- 立入禁止区画の設定:飛行高度に応じて、飛行範囲の外周から一定の距離(例:高度20m未満なら30m、50m以上100m未満なら60m)を確保し、第三者の進入を防ぐ措置を講じます。
- 補助者の配置:飛行経路全体を見渡せる位置に監視員(補助者)を配置し、第三者の立入監視や操縦者への助言を行います。
- 気象条件による制限:風速5m/s以上の場合は、原則として飛行を中止しなければなりません。
- 機体の構造:第三者への危害を軽減するプロペラガードの装備や、航空機からの視認性を高める灯火の装備が必要です。
3. まとめ
ドローンショーは、数百から数千台の機体を群制御し、夜空にアニメーション等を描く次世代エンターテインメントとして急成長しています。
法的には、航空法上の「特定飛行」に該当し、主に「催し場所上空」「夜間飛行」「目視外飛行」といった複数の承認を要します。
不特定多数の観客が集まる場ではリスクの高い「カテゴリーIIA」に分類され、事前の個別申請が必須となります。
実施にあたっては、機体登録、飛行開始予定日の10開庁日前(余裕を持って3〜4週間前を推奨)までの飛行許可・承認申請、飛行計画の通報、および飛行日誌の作成・記録が義務です。
安全確保のため、飛行高度に応じた立入禁止区画の設定や補助者の配置、風速5m/s未満での運航遵守が厳格に求められます。
これら複雑な法規制と最新のシステム変更を正確に把握することが、ショーを安全に成功させる鍵となります。




