ドローンの種類を徹底解説

「ドローン」と聞いてどんな形を思い浮かべますか?4つのプロペラが付いた空撮用のマルチコプターを想像する方が多いかもしれません。しかし実は、ドローンには複数の種類があり、それぞれ飛行の仕組みや得意な用途、さらには法律上の規制内容まで大きく異なります。
本記事では、航空法上の法的分類と無人航空機の5種類について、初心者の方にもわかりやすく解説します。ドローンを購入・導入しようと考えている方、仕事でドローンを使いたい方、免許・資格を取得予定の方はぜひ参考にしてください。

1. 航空法によるドローンの法的分類

ドローンを安全・合法に飛ばすためには、まず自分の機体が法律上どの区分に該当するかを把握することが大切です。

航空法では、ドローンを大きく2種類に分けています。それが「無人航空機」と「模型航空機」です。

この2つを分ける基準は「重量(機体本体+バッテリーの合計)」です。プロペラガードや外付けリモートIDなど、取り外し可能な付属品の重量は含みません

区分重量航空法の適用登録・許可
無人航空機100g以上適用あり(規制が多い)機体登録・飛行許可が必要
模型航空機100g未満一部適用(規制は殆どない)原則不要(条例等は注意)

① 無人航空機(100g以上)

航空法第2条第22項では、無人航空機を「航空の用に供することができる構造を有し、かつ、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもので、人が乗ることができないもの」と定義しています。

機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上のものが該当します。

業務用・ホビー用を問わず、市販の多くのドローン(DJI Miniシリーズなど)はこの「無人航空機」に分類されます。無人航空機に該当する場合、以下の法的義務が生じます。

  • 機体登録
  • リモートID機能の搭載
  • 国土交通大臣の許可・承認が必要(特定飛行を行う場合)
  • 飛行計画の通報(特定飛行を行う場合)
  • 飛行日誌の記録

② 模型航空機(100g未満)

機体本体とバッテリーの合計重量が100g未満のものは「模型航空機」に分類されます。

航空法の規制は少なくなってます(適用外ではない)が、航空法以外の法律(小型無人機等飛行禁止法、地方自治体の条例など)は適用される場合があるため、自由に飛ばせると考えるのは注意が必要です。

規制が少ない理由としては、人や物件への被害が比較的少ない、飛行可能時間が短い、機能が限定されている、風に弱いなどがあります。

模型航空機は機体登録やリモートIDの搭載義務がなく、飛行許可・承認も原則不要ですが、飛行禁止区域や条例などには引き続き注意が必要です。

2. 無人航空機の5つの種類と特徴

航空法では、無人航空機(100g以上のドローン)を飛行原理や機体構造によって、以下の5種類に分類しています。それぞれの構造・特徴・用途・メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

種類飛行原理飛行時間汎用性代表的な用途
マルチコプター複数プロペラ△ 短時間◎ 多様一般的なドローン
ヘリコプター1枚メインローター○ やや短め○ 農業・運搬農業用
固定翼型(飛行機)固定翼の揚力◎ 長時間○ 広域調査測量・物流
飛行船型ガスの浮力◎ 長時間△ 限定的広告・屋内
滑空機風の力○ 条件次第△ 特殊研究・競技

① 回転翼航空機(マルチコプター)

マルチコプターは、複数のプロペラを組み合わせて飛行する最もポピュラーなドローンです。

「マルチ(multi)=複数」「コプター(copter)=回転翼機」の名の通り、4枚(クワッドコプター)・6枚(ヘキサコプター)・8枚(オクトコプター)など複数のプロペラを回転させることで揚力を生み出し飛行します。

プロペラの回転数をそれぞれ独立して制御することで、前後左右への移動、ホバリング(空中停止)、回転など高い機動性を発揮します。

現在流通しているドローンの大多数がこのマルチコプタータイプです。

【特徴・用途】

  • 垂直離着陸が可能なため、広い離着陸スペースが不要
  • ホバリング(空中で静止)ができるため、精密な撮影・点検に適している
  • GPS・各種センサーとの組み合わせで高い安定性を実現
  • 農薬散布・空撮・測量・インフラ点検・配送など幅広い業務用途

【代表的な機種】

  • DJI Mini 4 Pro(空撮・ホビー用途)
  • DJI Mavic 4 Pro(プロ向け空撮)
  • DJI Agras T50(農業用農薬散布)
  • DJI Avata 2(FPVドローン・アクション映像)

【メリット・デメリット】

  • 【メリット】操作が比較的簡単で初心者にも扱いやすい
  • 【メリット】構造がシンプルでメンテナンスしやすい
  • 【メリット】ホバリング性能が高く精密作業に向いている
  • 【デメリット】飛行時間が短め(一般的に20〜40分程度)
  • 【デメリット】風速7m/s以上では安定性が低下しやすい

②回転翼航空機(ヘリコプター)

ヘリコプタータイプの無人航空機は、1枚の大型メインローター(主回転翼)と機体後部の小型テールローターで飛行します。

有人ヘリコプターを小型化したような構造で、ラジコンヘリとほぼ同じ仕組みです。

マルチコプターと比べるとローターの枚数が少ない分、1枚当たりのブレードが大型になり、同じ電力でより大きな揚力を得られます。

そのため積載量(ペイロード)が大きく、農業用無人ヘリとして長年活躍してきた歴史があります。

【特徴・用途】

  • 1枚の大型ローターによる高いペイロード(積載量)
  • 農薬散布・播種・肥料散布など農業分野での実績が豊富
  • 機体が大型になることが多く、広い飛行エリアが必要
  • 操縦には専門的なスキルと訓練が求められる

【メリット・デメリット】

  • 【メリット】農薬タンクなど重い積載物を搭載できる
  • 【メリット】大型ローターにより揚力効率が高い
  • 【デメリット】操縦が難しく、初心者向けではない
  • 【デメリット】マルチコプターより安定性が低く、風の影響を受けやすい
  • 【デメリット】機体が大型・重量があるためコストが高い

③飛行機型(固定翼航空機)

固定翼タイプは、飛行機のように翼(ウィング)の揚力を利用して飛行します。プロペラやジェットエンジンで前方へ推進力を生み出し、その気流が固定された翼に当たることで揚力が発生します。

回転翼型と比べてエネルギー効率が高く、長距離・長時間の飛行が可能です。最大飛行時間が数時間に及ぶ機種もあり、広大なエリアの測量や農地の巡回点検などに威力を発揮します。

【特徴・用途】

  • 広域の地形測量・農地モニタリング・森林調査
  • インフラ(送電線・パイプライン)の長距離点検
  • 災害時の広域状況把握・行方不明者の捜索

【メリット・デメリット】

  • 【メリット】飛行時間・飛行距離が他タイプより圧倒的に長い
  • 【メリット】高速飛行が可能(時速80〜120km以上の機種も)
  • 【メリット】エネルギー効率が高くランニングコストを抑えやすい
  • 【デメリット】ホバリングができないため、静止撮影・精密点検には不向き
  • 【デメリット】離着陸に滑走路や広いスペースが必要(カタパルト式もある)
  • 【デメリット】操縦技術が高度で免許・資格取得が推奨される

④飛行船型

飛行船型は、ヘリウムガスなどの軽量気体を内部に封入したバルーン(気嚢)の浮力で空中に浮かび上がるタイプです。推進と方向転換には小型のプロペラを使います。

プロペラが剥き出しでないため、人や物に衝突しても怪我・破損のリスクが低く、屋内イベントやコンサートホールなど通常のドローンが使えない環境でも活躍します。

商業施設や音楽フェスでロゴや広告を貼り付けた飛行船が飛んでいるシーンを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

【特徴・用途】

  • 屋内イベント・展示会・コンサートでの空中広告・演出
  • 長時間の空中滞在を必要とする観測・モニタリング

【メリット・デメリット】

  • 【メリット】プロペラが露出していないため人との接触リスクが低い
  • 【メリット】電動ファン・モーターの消費電力が小さく長時間飛行可能
  • 【メリット】静音性が高い
  • 【デメリット】風に流されやすく、屋外での精密な位置制御が難しい
  • 【デメリット】バルーン(気嚢)が大型になるためコンパクトさがない
  • 【デメリット】ヘリウムの調達コストや補充の手間がかかる

⑤滑空機(グライダー)

滑空機(グライダー)タイプは、自力の動力(エンジン・モーター)を持たず、風の力や気流だけで飛行します。

通常、手で投げるかカタパルトで打ち出して飛行を開始し、上昇気流に乗れば長時間滑空します。

商業用途への応用はまだ限定的ですが、大学・研究機関での空力研究で活用されています。構造がシンプルなため、STEM教育(科学、技術、工学、数学の4分野)の教材としても注目されています。

【特徴・用途】

  • 航空工学・流体力学の研究・実験用
  • スポーツ(グライダーレースなど)
  • 理工系教育の教材(翼の設計・空力の学習)

【メリット・デメリット】

  • 【メリット】動力不要でシンプル・軽量な構造
  • 【メリット】環境条件が整えば長距離の滑空が可能
  • 【デメリット】動力がなく風・天候に大きく左右される
  • 【デメリット】自律飛行や長時間滞空の制御が難しい
  • 【デメリット】商業利用(体験飛行など)の事例はまだ少ない

3. まとめ

本記事では、航空法上の分類(無人航空機・模型航空機)と、無人航空機の5つの種類(マルチコプター・ヘリコプター・固定翼型・飛行船型・滑空機)について解説しました。最後に重要ポイントを整理します。

種類主な特徴主な用途
回転翼(マルチコプター)安定性・操作性が高い空撮・点検・農薬散布・測量
回転翼(ヘリコプター)高積載・高出力農業・観測・運搬
固定翼型(飛行機)長距離・長時間飛行広域測量・災害調査・物流
飛行船型安全・長時間滞空広告・イベント・観測
滑空機(グライダー)動力なし・シンプル構造研究・教育・競技

  • ドローンは重量100g以上が「無人航空機」、100g未満が「模型航空機」に区分される
  • 無人航空機は機体登録・リモートID搭載が義務付けられており、特定飛行には飛行許可・承認が必要
  • 最も普及しているのはマルチコプターだが、用途によって最適なタイプは異なる
  • 模型航空機でも小型無人機等飛行禁止法や条例による規制は適用される

ドローンを安全・合法に活用するためには、自分の機体の種類と法的区分を正確に把握することが出発点です。

「何となくドローンを飛ばしてみたい」という段階から、しっかり法律を理解した上で飛ばすことで、トラブルを防ぎ、ドローンのポテンシャルを最大限に引き出せます。

機体登録、飛行許可の申請手続きなどでお困りの場合は、行政書士にご相談ください。手続きをスムーズに進めるためのサポートをいたします。

✉️お問い合わせはこちらから ⇨ 行政書士内間靖典事務所

【免責事項・最終更新について】

本記事は航空法その他の法令に基づき執筆しておりますが、法令は改正されることがあります。最新情報は国土交通省の公式サイトや、専門家にご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害等について、筆者は一切の責任を負いません。